“疲れ”を放置しない


朝起きてなお残る疲労感に、「以前は一晩寝たら疲れがとれたのに」と思うことはありませんか。ほかにも「ちょっとしたことで疲れやすくなった」「夕方になると疲れがドッと出る」など、仕事に家庭に忙しい毎日の中で、これまでと違う疲労を感じている人もいることでしょう。

はっきりした原因がないまま疲労感が続く、あるいは回復しない場合は、心と体から発せられるSOSのサインです。自分でも知らないうちに異常に疲れが蓄積する「慢性疲労」という状態に陥ってしまっているのかもしれません。

疲労感が半年以上続いていたら慢性疲労

慢性疲労とは「6ヵ月以上疲労が続き、一晩寝ても疲れがとれない」状態を指します。15年前に厚生省(現厚生労働省)が行った調査では、日本人の3人に1人が慢性疲労を訴えていると報告されています。IT化が進みストレスが増したと言われる現代では、さらに慢性疲労を訴える人の割合は高くなっていることが推測されます。

慢性疲労になると、作業量や活動量の低下という日常生活への影響ばかりでなく、思考力、注意力の低下から思わぬ事故を招く原因にもなります。さらにそのまま放置しておけば、うつ病などの心の病気や生活習慣病など、さまざまな疾患を誘発することにつながります。

慢性疲労のもとは3つの疲れの連鎖

疲労にもいろいろ種類がありますが、大きくは3つ、「身体の疲れ」「内臓の疲れ」「精神的な疲れ」に分類することができます。そして、これらはすべて影響し合い、スパイラルとなってつながっています。

●疲れたので、元気を出そうとして高エネルギー食をとる                       ●内臓を疲れさせ、夜中まで消化活動モードになる                             →●大脳が眠れないため、睡眠の質が落ちる                              →●ますます休息と活動のスイッチの切り替えがうまくいかなくなり、自律神経が乱れる              →●ホルモンや神経伝達物質の分泌にまで乱れが生じ、精神的に不安定になりイライラしてやけ食い、やけ酒をする                                               →●さらに内臓を疲れさせる

これが出口のない疲労の悪循環であり、典型的な現代人の疲労における負のループです。

こんな自覚症状が増えてきたら要注意!!

[肉体の症状]

□体がだるい  □目が疲れる  □単純ミスをよくする  □肩がこる
□乗り物に乗るとすぐ座りたくなる

[内臓の症状]
□便秘がちである  □よく下痢をする  □食後に胃がもたれる
□肌荒れや吹き出物がある  □ときどき胃がムカムカする

[精神的な症状]
□ささいなことですぐ腹が立つ  □最近ワクワクすることがない
□お酒を飲むと愚痴が増える  □すぐに後悔する  □いつでも仕事のことが気になる

疲労の陰に病気が潜んでいることも
慢性疲労は病気につながるだけでなく、すでにかかっている病気を知らせるアラームとして起きている可能性もあるため、ほうっておくとそれらの病気を進行させてしまうおそれがあります。

疲労感を伴う病気は、高血圧、低血圧、心臓や肺、呼吸器の異常、貧血、糖尿病、肝機能異常、腎臓の異常、甲状腺の異常、がん、ウイルス感染などさまざまです。

さらに慢性疲労で最もこわいのは、自覚のない疲労感による心身症や突然死です。心にムチ打ち体を酷使しているうちに疲労感そのものがわからなくなり、やがて体が悲鳴をあげて心身症による急性心筋梗塞や狭心症を引き起こしてしまいます。

多くの病気は血液検査や尿検査で調べられますので、疲れが長引く場合、または健診で不整脈を指摘されたら、何かの原因が潜んでいると考えて早めに医療機関を受診しましょう。