歩行運動療法の医療機器デバイス

歩行運動療法に用いる医療機器デバイス
製品名:ファンクショナルハーネスType1
第三種医療機器:一般的名称:非能動型簡易牽引装置
分類:一般医療機器
医療機器届出番号:13B3X10267000001

特徴
装着することで骨盤を立て、胸郭を開き、同時に腹部の腹圧意識に働きかけ、姿勢をニュートラルポジションへと導きます。方法論特許取得 ニュートラルポジションとは身体の状態が効率的で動きが妨げられていない状態を云います。

機能メカニズム
その仕組みは脊柱起立筋を起点に姿勢を支える対幹部の抗重力筋同士を前後左右から身体の動きを妨げることなくハーネスを螺旋軌道で相互に引き合わせることで骨盤を立て姿勢の配列を整え、体軸の安定性を高め立位、座位共に姿勢のバランスを制御することで常にニュートラルポジションをキープするように働きます。

「歩行運動療法プログラム」の基礎となるエビデンス

来間 弘展1), 川口 司2), 西 武胤3), 山田 拓実1)
1) 首都大学東京 健康福祉学部 理学療法学科
2) JR東京総合病院 リハビリテーション科 3) ヒーリンクスジャパン

【目的】
歩行は日常生活において誰でも常に行われる動作であり、よい歩行パターンで生活を送ることは障害予防やリハビリテーションの効果を上げるためには重要である。日常の姿勢や歩行パターン改善する器具として、ハーネスがある。このハーネスは、体幹と下肢をらせん状に結びつけ、姿勢の安定化を図るものである。今回、このハーネスを着用して、歩行パターンがどのように変化するかを三次元動作解析装置を用いて検討することを目的とした。

【対象と方法】
<対象>
対象は、健常成人男性8名(平均年齢21.1±1.2歳、平均身長173.5±4.4cm、 平均体重66.3±7.3kg)で、すべての対象者に実験の目的・手順・予想される危険性 について説明し、実験に協力することに対する了解を得た。また本研究は首都大学東京荒川キャンパス研究安全倫理委員会の承認(承認番号18114 )を得て実施した。
<方法>
対象者は以下三種類の歩行を三次元動作解析装置(Vicon社製、サンプリング周波数100Hz)および床反力計(Kisker社製フォースプレート、サンプリング周波数 1000Hz)を用いて計測した。
① 通常歩行
② ハーネス装着時歩行
対象者は①の計測後、ハーネス(ヒーリンクスジャパン)(図1)を着用し、装着直後に②の計測を行った。なお、歩行はすべて対象者の快適歩行にて行い、すべて5m歩行を5 回ずつ計測した。
三次元動作解析装置および床反力計より得られた三次元座標と床反力データを Bodybuilder (Vicon Motion System社製,Oxford, UK)を用いて、歩行時の関節角度、関節モーメントを算出した。得られたデータをPolygon( Vicon Motion System 社製,Oxford, UK)に取り込み、5施行の平均値を算出した。

【結果】
歩行時のパラメータを表1に示す。ハーネスを着用することにより、ケーデンスと歩幅の増加を認めた。
また骨盤最大前傾角度は、通常歩行で4°、ハーネス着用で8°、最小前傾角度は通常歩行で3°、ハーネス着用で 6°であった。股関節最大屈曲角度は、通常歩行で26°、 ハーネス着用で28°であり、最大伸展角度は、通常歩行で 17°、ハーネス着用で15°であった。股関節屈曲最大モーメ ントは、通常歩行で0.6Nm/kgで、ハーネス着用で 0.5Nm/kgで、股関節伸展最大モーメントは通常歩行、 ハーネス着用とも1.0Nm/kgであった。

【結果】
歩行時のパラメータを表1に示す。ハーネスを着用すること により、ケーデンスと歩幅の増加を認めた。
また骨盤最大前傾角度は、通常歩行で4°、ハーネス着 用で8°、最小前傾角度は通常歩行で3°、ハーネス着用で 6°であった。股関節最大屈曲角度は、通常歩行で26°、 ハーネス着用で28°であり、最大伸展角度は、通常歩行で 17°、ハーネス着用で15°であった。股関節屈曲最大モーメ ントは、通常歩行で0.6Nm/kgで、ハーネス着用で 0.5Nm/kgで、股関節伸展最大モーメントは通常歩行、 ハーネス着用とも1.0Nm/kgであった。

【結果】
ハーネスを装着することにより、骨盤は前傾を保ち歩行をすることが明らかとなった。股関節の伸展角度は減少し、屈曲角度が増加した。我々の以前の筋電図による研究では、歩行立脚初期の大殿筋筋活動は、ハーネス着用により増加した。ハーネスが大腿後面に回っていることにより、バンドが抵抗となり、大殿筋活動量は増加するが、伸展角度は減少するという現象が起こることが分かった。また立脚後期のハーネスの抵抗が股関節屈曲角度増加となって現れたのであろう。またハーネス着用により、姿勢が安定化し、歩幅を大きくしての歩行が可能となり、ケーデンスの上昇につながったと思われる。ハーネスを着用することにより、歩行効率の良い歩行となり、かつ理想的な歩行になる可能性が明らかになった。

【COI】
本研究は医療機器メーカー/株式会社ヒーリンクスジャパンが、中小企業振興公社医療産業助成事業の研究助成を受けて実施した。